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はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト2014「黒塚」発信プロジェクトとして完成した映像作品「KUROZUKA黒と朱」をお借りして上映することが決まりました。
観世寺の他、被災地・浪江町などでロケが行われ、舞踊家の身体表現を通して約10分間に凝縮された作品は見る者をさまざまに触発します。
福島が置かれている歴史、現状を感じ、考える契機ともなる作品です。
(以下、資料掲載いたします。)
はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト2014
「黒塚」発信プロジェクト
映像作品「KUROZUKA黒と朱」
主演:平山素子 監督:高明 企画・美術:渡邊晃一
謡曲や歌舞伎の演目「黒塚」「安達ヶ原」として広く全国に知られている安達ヶ原の鬼婆伝説。
伝説の舞台は現在の二本松市観世寺と近傍の阿武隈川畔とされています。観世寺境内には鬼婆がこもったとされる岩屋が、河畔には碑が建っています。
乳母いわては京の都で幼な子を育てていましたが、その子がにわかに病を発し、その治療のためには妊婦の生き肝が必要だと告げられます。生き肝を求めて旅に出たいわてでしたが、たやすく得られるはずもありません。放浪の末やがてたどり着いたのが安達ヶ原の岩屋でした。何年も経ったある日のこと、ついに一人の若い妊婦が通りかかり、いわては宿願を達します。
ところが、殺めた妊婦の懐には見覚えのあるお守りが。それは旅立つ前、自分の娘に授けたものだったのです。あまりの悲しみにいわては鬼女に変じ、以後、旅人を取って喰うようになってしまいました。
凄惨で悲しい伝説ですが、ここには中央と地方、搾取される者と搾取する者の関係性が象徴されているのではないでしょうか。東京電力福島第一原子力発電所事故は、今もなお同様の構図があることを明らかにしました。
映像作品「黒と朱」は舞踊家・振付家の平山素子氏主演、監督は南相馬市出身の高明氏、美術を福島大学教授の美術家渡邊晃一氏が担当しました。ロケは観世寺の他、浪江町、南相馬市、福島大学で行なわれ、2011年を経た福島で新しい安達ヶ原伝説が誕生しました。
10分の映像作品に込めた様々な思い。ぜひご覧ください。
平山素子 HIRAYAMA, Motoko
ダンサー、振付家。筑波大学准教授。
1999 年、世界バレエ&モダンダンスコンクールにて金メダルとニジンスキー賞をダ
ブル受賞。2005 年より新国立劇場で多くの委託振付作品を手がけ、芸術選奨文部科
学大臣新人賞をはじめ受賞多数。現在は、様々なプロジェクトに携わり、身体の輝き
という舞踊の原始性と21 世紀という先端性を両立させる試みを続けている。
渡邊晃一 WATANABE, Koichi
美術家、福島大学教授、福島大学芸術による地域創造研究所所長。
絵画・現代美術を中心に活動。現代日本美術展、VOCA 展、北海道立近代美術館、福
島県立美術館、Chevigny(フランス)、Mouson(ドイツ)などの企画展に参加。福島
現代美術ビエンナーレ企画監修。ダンス作品とのコラボレーションに『大野一雄 疾
走する肌膚』(川口現代美術館スタジオ)、『平山素子 Life Casting』(新国立劇場)など。
平山素子のダンス作品『春の祭典』(新国立劇場)にも美術協力している。
高明 KOMEI
映画監督。
1999 年、V シネマ『鯨道9』で監督デビュー。2008 年、『工業哀歌バレーボーイズ』
で初の劇場公開作品を手掛けた。監督作品に、2011 年『オーディション』、2013 年『九
丁堀にゃんとも事件簿』など。コメディ、青春群像など多岐に渡るジャンルで映画制
作を続ける。
はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト
2011 年3 月11 日の東日本大震災、その後の東京電力福島第一原子力発電所事故により、福島県内には津波・地震による被害に加え放射線汚染被害、さらに、そこに由来するコミュニティの分断、風評被害が発生し、今なお多くの局面で復旧・復興が急がれています。
この状況から一歩でも前進するため、福島県立博物館と福島県下の博物館、文化事業に携わる大学、NPO などの諸団体が連携し文化活動の支援を行うことを目的に、はま・なか・あいづ文化連携プロジェクトを2012 年にスタートしました。
震災後、数年間が経過し、県内各地域が抱える問題・課題の差異が時間の経過と共に際立つようになり、福島県を地理的に区分する「はま・なか・あいづ」それぞれの地域の問題・課題への丁寧なリサーチと対応が必須となってきています。
2014 年度はそれらの解決につながるアプローチとなることを目的に、9 つのプロジェクトを展開しています。